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報告1 資料4 新安全基準(地震・津波)骨子 市議会全員協議会資料(平成25年10月30日) | 出雲市

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(1)

<資料4>

平成25年4月3日

新安全基準(地震・津波)骨子

目 次

1.地震及び津波に対する設計の基本方針 2.施設の重要度分類

3.基準地震動の策定 4.耐震設計方針

5.地盤安定性に対する設計上の考慮 6.基準津波の策定

7.津波に対する設計方針

8.周辺斜面の安定性に対する設計上の考慮

(注意)

・本資料は、「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討 チーム」における議論を踏まえて取りまとめた新安全基準(地震・津波)の骨子案に対 し、2 月 7 日~28 日までの間に実施したパブリックコメントの結果を踏まえたものです。

(下線:変更箇所)

・本骨子は、形式にこだわらず規制要求すべき事項を取りまとめたものであり、法規制上 の構成や、用語の定義、具体的規定内容等については、法令上の用例に基づき、整理す ることになります。

(2)

1.地震及び津波に対する設計の基本方針

【基本的要求事項】

1 原子炉施設(以下単に「施設」という。)は、全体として高い安全性を有する必要があ るため、次に示す基本的な設計方針を満足すること。

一 重要な安全機能を有する施設は、将来活動する可能性のある断層等の露頭が無いこ とを確認した地盤に設置すること。

二 重要な安全機能を有する施設は、施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生す る可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがある地震動(以下「基準地震動」 という。)による地震力に対して、その安全機能を損なわない設計であること。さらに 施設は、地震により発生する可能性のある安全機能の喪失及びそれに続く環境への放 射線による影響の観点から考えられる重要度に応じて、適切と考えられる地震力に十 分耐える設計であること。

三 施設は、前号の規定における地震力に対して十分な支持性能をもつ地盤に設置する こと。

四 重要な安全機能を有する施設は、施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生す る可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがある津波(以下「基準津波」と いう。)に対して、その安全機能を損なわない設計であること。

2 基準地震動及び基準津波の策定等に当たっての調査については、目的に応じた調査手 法を選定するとともに、調査手法の適用条件及び精度等に配慮することによって、調査 結果の信頼性と精度を確保すること。

【要求事項の詳細】

(1)「将来活動する可能性のある断層等」とは、震源として考慮する活断層のほか、地震 活動に伴って永久変位が生じる断層に加え、支持基盤を切る地すべり面が含まれる。

(2)「将来活動する可能性のある断層等」としては、後期更新世以降(約12~13万年 前以降)の活動が否定できないものとすること。その認定に当たって、後期更新世の複 数の地形面又は連続的な地層が欠如する等、後期更新世以降の活動性が明確に判断でき ない場合には、中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡って地形、地質・地質構造 及び応力場等を総合的に検討した上で活動性を評価すること。なお、活動性の評価に当

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たって、設置面での確認が困難な場合には、当該断層の延長部で確認される断層等の性 状等により、安全側に判断する必要がある。

(3)第1項第一号については、重要な安全機能を有する施設が、将来活動する可能性の ある断層等の露頭がある地盤面に設置された場合、その将来の断層等の活動によって安 全機能に重大な影響を与えるおそれがあるために規定したものである。

(参考)

基準地震動、基準津波の策定に係る「残余のリスク」の存在について

地震学的見地からは、基準地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性は否定で きない。また、同様に、基準津波を超える津波が施設に襲来する可能性は否定できな い。これらのことは、基準地震動又は基準津波の策定において、「残余のリスク」(策 定された基準地震動または基準津波を上回る影響が施設に及ぶことにより、施設に重 大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生す ること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及 ぼすことのリスク)が存在することを意味する。したがって、施設の設計に当たって は、策定された基準地震動又は基準津波を上回る事象が生起する可能性に対して適切 な考慮を払い、基本設計の段階のみならず、それ以降の段階も含めて、この「残余の リスク」の存在を十分認識しつつ、それを合理的に実行可能な限り小さくするための 努力が払われるべきである。

(4)

2.施設の重要度分類

【基本的要求事項】

1 施設は全体として高い安全性を有する必要があるため、地震により発生する可能性 のある安全機能の喪失及びそれに続く環境への放射線による影響を防止する観点か ら、重要な安全機能を有する施設は全てSクラスとすること。また、Sクラスと比べ 影響が小さいものはBクラス、これら以外の一般産業施設、公共施設と同等の安全性 が要求される施設はCクラスとすること。

2 第1項に規定するSクラス施設に対して津波による影響が発生することを防止する 施設・設備(以下「津波防護施設・設備」という。)及び敷地における津波監視機能を 有する設備(以下「津波監視設備」という。)については、地震により発生する可能性 のある当該機能の喪失による安全機能への影響の観点から、Sクラスとすること。

【要求事項の詳細】

各クラスの機能上の分類及びクラス別施設の考え方は、次に示すとおりである。

(1)第1項によるものは次に示すとおりとすること。

①Sクラス

重要な安全機能を有する施設は全てSクラスとする。重要な安全機能を有する施設 とは、地震により発生する可能性のある事象に対して、原子炉を停止し、炉心を冷却 するために必要な機能を持つ施設、自ら放射性物質を内蔵している施設、当該施設に 直接関係しておりその機能喪失により放射性物質を外部に拡散する可能性のある施設、 これらの施設の機能喪失により事故に至った場合の影響を緩和し、環境への放射線に よる影響を軽減するために必要な機能を持つ施設、及びこれらの重要な安全機能を支 援するために必要となる施設であって、その影響の大きいものを言い、少なくとも次 の施設はSクラスとすること。

・原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器・配管系

・使用済燃料を貯蔵するための施設

・原子炉の緊急停止のために急激に負の反応度を付加するための施設、及び原子炉の 停止状態を維持するための施設

・原子炉停止後、炉心から崩壊熱を除去するための施設

・原子炉冷却材圧力バウンダリ破損事故後、炉心から崩壊熱を除去するための施設

・原子炉冷却材圧力バウンダリ破損事故の際に、圧力障壁となり放射性物質の放散を 直接防ぐための施設

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・放射性物質の放出を伴うような事故の際に、その外部放散を抑制するための施設で あり、前項以外の施設

②Bクラス

安全機能を有する施設のうち、機能喪失した場合の影響がSクラスと比べ小さい施 設はBクラスとすること。例えば、次の施設が挙げられる。

・原子炉冷却材圧力バウンダリに直接接続されていて、一次冷却材を内蔵しているか 又は内蔵しうる施設

・放射性廃棄物を内蔵している施設。ただし、内蔵量が少ないか又は貯蔵方式により、 その破損による公衆に与える放射線の影響が周辺監視区域外における年間の線量限 度に比べ十分小さいものは除く。

・放射性廃棄物以外の放射性物質に関連した施設で、その破損により、公衆及び従事 者に過大な放射線被ばくを与える可能性のある施設

・使用済燃料を冷却するための施設

・放射性物質の放出を伴うような場合に、その外部放散を抑制するための施設で、S クラスに属さない施設

(2)第2項によるものは次に示すとおりとすること。これらの施設の機能が地震により 損なわれた場合、その状態が継続している間に津波が襲来し重要な安全機能に影響 を与える可能性があることから、これらの施設の耐震設計上の重要度をSクラスと するものである。

①津波防護機能を有する施設:津波防護施設、浸水防止機能を有する設備:津波防護設 備

②敷地における津波監視機能を有する設備:津波監視設備(津波警報等の公的機関情報 の活用を前提とするが、これらが活用できない場合であっても敷地への津波の繰り返 しの襲来を察知し、上記①の施設等の機能を確実に確保するために必要となるもの。)

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3.基準地震動の策定

【基本的要求事項】

施設の耐震設計に用いる基準地震動は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び 敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地か ら想定することが適切なものとし、次の方針により策定すること。

一 基準地震動は、次項の「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び第三号の

「震源を特定せず策定する地震動」について、解放基盤表面における水平方向及び鉛 直方向の地震動としてそれぞれ策定すること。

二 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレート間地 震及び海洋プレート内地震について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(以 下「検討用地震」という。)を複数選定し、選定した検討用地震ごとに、不確かさを考 慮して応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動 評価を、解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定すること。

三 「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連づけることが困難な過 去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し、これら を基に、各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定し て策定すること。

【要求事項の詳細】

(1)基準地震動の性格について

基準地震動は、施設の耐震安全性を確保するための耐震設計の前提となる地震動で あり、その策定に当たっては、個別の申請時における最新の科学的・技術的知見を踏 まえて、その妥当性を十分確認すること。

(2)基準地震動の策定に関して使用する用語の意味解釈は次による。

①「解放基盤表面」とは、基準地震動を策定するために、基盤面上の表層や構造物が無 いものとして仮想的に設定する自由表面であって、著しい高低差がなく、ほぼ水平で 相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、おお むねせん断波速度Vs=700m/s以上の硬質地盤であって、著しい風化を受けて いないものとする。

②「内陸地殻内地震」とは、陸のプレートの上部地殻地震発生層に生じる地震をいい、 海岸のやや沖合で起こるものを含む。

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③「プレート間地震」とは、相接する二つのプレートの境界面で発生する地震をいう。 ④「海洋プレート内地震」とは、沈み込む(沈み込んだ)海洋プレート内部で発生する 地震をいい、海溝軸付近ないしそのやや沖合で発生する「沈み込む海洋プレート内の 地震」と、海溝軸付近から陸側で発生する「沈み込んだ海洋プレート内の地震(スラ ブ内地震)」の2種類に分けられる。

(3)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」については、次に示す方針により策定 すること。

①内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、活断層の性質や 地震発生状況を精査し、中・小・微小地震の分布、応力場、地震発生様式(プレート の形状・運動・相互作用を含む。)に関する既往の研究成果等を総合的に検討し、検討 用地震を複数選定すること。

②内陸地殻内地震に関しては、次に示す事項を考慮すること。

ⅰ)震源として考慮する活断層の評価に当たっては、調査地域の地形・地質条件に応 じ、既存文献の調査、変動地形学的調査、地質調査、地球物理学的調査等の特性を 活かし、これらを適切に組み合わせた調査を実施した上で、その結果を総合的に評 価し活断層の位置・形状・活動性等を明らかにすること。

ⅱ)震源モデルの形状及び震源特性パラメータ等の評価に当たっては、孤立した短い 活断層の扱いに留意するとともに、複数の活断層の連動を考慮すること。

③プレート間地震及び海洋プレート内地震に関しては、国内のみならず世界で起きた大 規模な地震を踏まえ、地震の発生機構やテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で 震源領域の設定を行うこと。

④上記①で選定した検討用地震ごとに、次に示すⅰ)の応答スペクトルに基づく地震動 評価及びⅱ)の断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施して策定すること。 なお、地震動評価に当たっては、敷地における地震観測記録を踏まえて、地震発生様 式、地震波の伝播経路等に応じた諸特性(その地域における特性を含む。)を十分に考 慮すること。

ⅰ)応答スペクトルに基づく地震動評価

検討用地震ごとに、適切な手法を用いて応答スペクトルを評価のうえ、それらを 基に設計用応答スペクトルを設定し、これに対して、地震の規模及び震源距離等に 基づき地震動の継続時間、振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を適切に考慮し て地震動評価を行うこと。

ⅱ)断層モデルを用いた手法に基づく地震動評価

検討用地震ごとに、適切な手法を用いて震源特性パラメータを設定し、地震動評 価を行うこと。

⑤上記④の基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層 の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破

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壊開始点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方、解釈の違いによる不確かさ)に ついては、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラ メータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法 を用いて考慮すること。

⑥内陸地殻内地震について選定した検討用地震のうち、震源が敷地に極めて近い場合は、 地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷 地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当性 について詳細に検討するとともに、これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に 留意の上、上記⑤の各種の不確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、 震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、さ らに十分な余裕を考慮して基準地震動を策定すること。

⑦検討用地震の選定や基準地震動の策定に当たって行う調査や評価は、最新の科学的・ 技術的知見を踏まえること。また、既往の資料等について、それらの充足度及び精度 に対する十分な考慮を行い、参照すること。なお、既往の資料と異なる見解を採用し た場合及び既往の評価と異なる結果を得た場合には、その根拠を明示すること。 ⑧施設の構造に免震構造を採用する等、やや長周期の地震応答が卓越する施設等がある

場合は、その周波数特性に着目して地震動評価を実施し、必要に応じて他の施設とは 別に基準地震動を策定すること。

(4)「震源を特定せず策定する地震動」については、次に示す方針により策定すること。

①「震源を特定せず策定する地震動」の策定については、解放基盤表面までの地震波の 伝播特性を必要に応じて応答スペクトルの設定に反映するとともに、設定された応答 スペクトルに対して、地震動の継続時間、振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を 適切に考慮すること。

②「震源を特定せず策定する地震動」として策定された基準地震動の妥当性については、 申請時における最新の科学的・技術的知見を踏まえて個別に確認すること。その際に は、地表に明瞭な痕跡を示さない震源断層に起因する震源近傍の地震動について、確 率論的な評価等、各種の不確かさを考慮した評価を参考とすること。

(5)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」 の地震動評価においては、適用する評価手法に必要となる特性データに留意の上、 地震波の伝播特性に係る次に示す事項を考慮すること。

①敷地及び敷地周辺の地下構造(深部・浅部地盤構造)が地震波の伝播特性に与える影 響を検討するため、敷地及び敷地周辺における地層の傾斜、断層、褶曲構造等の地質 構造を評価するとともに、地震基盤の位置や形状、岩相・岩質の不均一性、地震波速 度構造等の地下構造及び地盤の減衰特性を評価すること。なお、評価の過程において、 地下構造が成層かつ均質と認められる場合を除き、三次元的な地下構造により検討す ること。

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②①の評価の実施に当たって必要な敷地及び敷地周辺の調査については、地域特性、既 往文献の調査、既存データの収集・分析、地震観測記録の分析、地質調査、ボーリン グ調査、二次元又は三次元の物理探査等を適切な手順と組合せで実施すること。

(6)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」 については、それぞれが対応する超過確率を参照し、それぞれ策定された地震動の 応答スペクトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握すること。

(参考)

要求事項の詳細(6)の「参照」の意味については、「1.地震及び津波に対する基 本方針」の(参考)にあるとおり、策定された地震動を上回る事象が生起する可能 性について認識するためのものであり、施設の設計に当たって「残余のリスク」に対 して適切に配慮し、基本設計以降の段階も含めてその低減努力を継続して実施して いくことである。

(10)

4.耐震設計方針

【基本的要求事項】

施設は、耐震設計上のクラス別に、次に示す耐震設計に関する基本的な方針を満足する こと。

一 2.施設の重要度分類 第1項に規定されるSクラスの各施設は、基準地震動によ る地震力に対してその安全機能が保持できること。また、弾性設計用地震動による地 震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留まる 範囲で耐えること。

2.施設の重要度分類 第2項に規定されるSクラスの各施設及び設備並びに津波 防護設備が設置された建物・構築物は、基準地震動による地震力に対して、それぞれ の施設に要求される機能(津波防護機能、浸水防止機能、津波監視機能)が保持でき ること。

二 Bクラスの各施設は、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐える こと。また、共振のおそれのある施設については、その影響についての検討を行うこ と。

三 Cクラスの各施設は、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐える こと。

四 上記各号において、上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの波及的 影響によって、その安全機能を損なわないこと。

【要求事項の詳細】

(1)耐震設計方針についての規定内容の意味解釈は、次に示すとおりである。 ①弾性設計用地震動の設定

Sクラスの各施設は弾性設計用地震動による「地震力に対しておおむね弾性状態に 留まる範囲で耐える」ことを求めているが、この弾性設計用地震動は工学的判断に基 づいて設定すること。弾性状態は、地震動が施設に及ぼす影響及び施設の状態を明確 に評価することが可能な状態であり、施設が全体的に弾性設計用地震動による地震力 に対しておおむね弾性状態に留まることを把握することによって、基準地震動による 地震力に対する施設の安全機能保持の把握を確実なものとする。

この弾性設計用地震動の具体的な設定値及び設定根拠について、申請ごとに、十分

(11)

に明らかにすること。また、弾性設計用地震動と基準地震動の応答スペクトルの比率

(弾性設計用地震動/基準地震動)の値は、弾性設計用地震動に求められる性格上、 ある程度以上の大きさであるべきであり、めやすとして、0.5を下回らないような 値で求められていること。

②Bクラスの施設について、「共振のおそれのある施設については、その影響についての 検討を行うこと」としたが、この検討に用いる地震動に関しては、弾性設計用地震動 に2分の1を乗じたものとすること。

③第四号において「上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの波及的影響 によって、その安全機能を損なわないこと」としたが、少なくとも次に示す事項につ いて、上位の分類に属するものの安全機能への影響が無いことを確認すること。影響 評価に関しては、敷地全体を俯瞰した調査・検討の内容等を含めて、事象選定及び影 響評価の結果の妥当性を示すこと。また、影響評価に当たっては、上位の分類に属す るものの設計に用いる地震動又は地震力を適用すること。

ⅰ)設置地盤、地震応答性状の相違等に起因する相対変位、不等沈下による影響 ⅱ)上位クラスと下位クラスの接続部における相互影響

ⅲ)建屋内における下位クラスの損傷、転倒、落下等による上位クラスへの影響 ⅳ)建屋外における下位クラスの損傷、転倒、落下等による上位クラスへの影響

(2)地震力の算定法

施設の耐震設計に用いる地震力の算定方法は、次に示すとおりである。 ①地震応答解析による地震力

地震応答解析による地震力の算定は次に示す方法によること。 ⅰ)基準地震動による地震力

基準地震動による地震力は、基準地震動を用いて、水平2方向及び鉛直方向につ いて適切に組み合わせたものとして算定すること。なお、建物・構築物と地盤との 相互作用、埋め込み効果及び周辺地盤の非線形性について、必要に応じて考慮する こと。

ⅱ)弾性設計用地震動による地震力

弾性設計用地震動は、基準地震動に基づき、工学的判断により設定する。また、 弾性設計用地震動による地震力は、水平2方向及び鉛直方向について適切に組み合 わせたものとして算定すること。なお、建物・構築物と地盤との相互作用、埋め込 み効果及び周辺地盤の非線形性について、必要に応じて考慮すること。

ⅲ)地震応答解析

基準地震動及び弾性設計用地震動による地震力を算定するに当たっては、地震応 答解析手法の適用性、適用限界等を考慮のうえ、適切な解析法を選定するとともに、 十分な調査に基づく適切な解析条件を設定すること。

地震力の算定過程において建物・構築物の設置位置等で評価される入力地震動に

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ついては、解放基盤表面からの地震波の伝播特性を適切に考慮するとともに、必要 に応じて地盤の非線形応答に関する動的変形特性を考慮すること。また、敷地にお ける観測記録に基づくとともに、最新の科学的・技術的知見を踏まえて、その妥当 性が示されていること。

②静的地震力

静的地震力の算定は次に示す方法によること。 ⅰ)建物・構築物

水平地震力は、地震層せん断力係数Cに、次に示す施設の重要度分類に応じた係 数を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定すること。

Sクラス 3.0 Bクラス 1.5 Cクラス 1.0

ここで、地震層せん断力係数Cは、標準せん断力係数Cを0.2以上とし、建 物・構築物の振動特性、地盤の種類等を考慮して求められる値とすること。

また、建物・構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることの確認が必 要であり、必要保有水平耐力の算定においては、地震層せん断力係数に乗じる施設 の重要度分類に応じた係数は、Sクラス、Bクラス、Cクラスともに1.0とし、 その際に用いる標準せん断力係数Cは1.0以上とすること。この際、施設の重要 度に応じた妥当な安全余裕を有していること。

Sクラスの施設については、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合 せで作用するものとする。鉛直地震力は、震度0.3以上を基準とし、建物・構築 物の振動特性、地盤の種類等を考慮して求めた鉛直震度より算定すること。ただし、 鉛直震度は高さ方向に一定とすること。

ⅱ)機器・配管系

各耐震クラスの地震力は、上記ⅰ)に示す地震層せん断力係数Cに施設の重要度 分類に応じた係数を乗じたものを水平震度とし、当該水平震度及び上記ⅰ)の鉛直 震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めること。

なお、水平地震力と鉛直地震力は同時に不利な方向の組合せで作用させること。 ただし、鉛直震度は高さ方向に一定とすること。

ⅲ)ⅰ)及びⅱ)において標準せん断力係数C等を0.2「以上」としたことについ ては、原子炉設置者に対し、個別の建物・構築物、機器・配管系の設計において、 それぞれの重要度を適切に評価し、それぞれに対し適切な値を用いることにより、 耐震性の高い施設の建設等を促すことを目的としている。耐震性向上の観点からど の施設に対してどの程度の割増し係数を用いれば良いかについては、設計、建設に 関わる者が産業施設、公共施設等の耐震基準との関係を考慮して設定すること。

(13)

(3)荷重の組合せと許容限界

耐震安全性に関する設計方針の妥当性の評価に当たって考慮すべき荷重の組合せと 許容限界についての基本的考え方は、次に示すとおりである。

①建物・構築物

ⅰ)Sクラスの建物・構築物

イ)基準地震動との組合せと許容限界

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力と の組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力 時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安 全余裕を有していること。

ロ)弾性設計用地震動等との組合せと許容限界

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による 地震力又は静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、安全上適 切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること。

ⅱ)Bクラス、Cクラスの建物・構築物

常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と静的地震力を組み合わせ、そ の結果発生する応力に対して、上記①ⅰ)ロ)の許容応力度を許容限界とすること。 ②機器・配管系

ⅰ)Sクラスの機器・配管系

イ)基準地震動との組合せと許容限界

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と 基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、その施設に要求され る機能を保持すること。なお、上記により求まる荷重により塑性ひずみが生じる 場合であっても、その量が微少なレベルに留まってひび割れ限界に十分な余裕を 有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。また、動的機器等に ついては、基準地震動による応答に対して、その設備に要求される機能を保持す ること。具体的には、実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容 限界とすること。

ロ)弾性設計用地震動等との組合せと許容限界

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と、 弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、 応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。

ⅱ)Bクラス、Cクラスの機器・配管系

通常運転時、運転時の異常な過渡変化時の荷重と静的地震力を組み合わせ、その 結果発生する応力に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。

(14)

③津波防護施設・設備等

ⅰ)2.施設の重要度分類 第2項に規定されるSクラスの建物・構築物並びに津波 防護設備が設置された建物・構築物は、常時作用している荷重及び運転時に作用 する荷重と基準地震動による地震力の組合せに対して、当該建物・構築物が構造 全体として変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有するとともに、 その施設に要求される機能(津波防護機能、浸水防止機能)を保持すること。 ⅱ)2.施設の重要度分類 第2項に規定されるSクラスの設備は、常時作用してい

る荷重及び運転時に作用する荷重等と基準地震動による地震力の組合せに対して、 その設備に要求される機能(浸水防止機能、津波監視機能)を保持すること。 ⅲ)上記の③ⅰ)及びⅱ)の荷重組合せに関して、地震と津波が同時に作用する可能

性について検討し、必要に応じて基準地震動による地震力と津波による荷重の組 合せを考慮すること。

④荷重組合せと許容限界についての規定内容の意味解釈は、次に示すとおりである。 ⅰ)「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」については、地

震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重及び地震によ って引き起こされるおそれのない事象であっても、いったん事故が発生した場合、 長時間継続する事象による荷重は、その事故事象の発生確率、継続時間及び地震 動の超過確率の関係を踏まえ、適切な地震力と組み合わせて考慮すること。 ⅱ)建物・構築物の弾性設計用地震動等との組合せに対する許容限界については、「安

全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度」としたが、具体的には建 築基準法等がこれに相当する。

ⅲ)建物・構築物の基準地震動の組合せに対する項目中の「終局耐力」とは、構造物 に対する荷重を漸次増大した際、構造物の変形又は歪みが著しく増加する状態を 構造物の終局状態と考え、この状態に至る限界の最大荷重負荷を意味する。 ⅳ)機器・配管系の弾性設計用地震動等との組合せに対する許容限界については、「応

答が全体的におおむね弾性状態に留まること」を基本的な考え方としているが、 具体的には、電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」(※)等が これに相当する。

(※)

現状の記載は、耐震設計審査指針による要求事項と同様の内容を記載しているが、 今後、規制委員会規則において『電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する 技術基準」』に相当する条項を引用することとなる。

(15)

5.地盤安定性に対する設計上の考慮

【基本的要求事項】

1 施設を設置する地盤は、4.耐震設計方針に規定する地震力に対して十分な支持性能 を有していること。

2 重要な安全機能を有する施設は、地震発生に伴う地殻変動によって生じる支持地盤の 傾斜及び撓みに対して、安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと。

3 重要な安全機能を有する施設は、地震発生に伴う建物・構築物間の不等沈下、液状化 や揺すり込み沈下等の周辺地盤の変状により安全機能が重大な影響を受けるおそれがな いこと。

【要求事項の詳細】

・耐震設計上の重要度分類Sクラスの設備等を支持する建物・構築物の地盤の支持性能に ついては、「1.地震及び津波に対する設計の基本方針」で将来活動する可能性のある断 層等の露頭が無いことが確認された地盤について、地震動に対する弱面上のずれ等が無い ことを含め、基準地震動に対する支持性能が確保されていることを確認すること。

・第2項における「地震発生に伴う地殻変動によって生じる支持地盤の傾斜及び撓み」に ついては、広域的な地盤の隆起、沈降によって生じるもののほか、局所的なものを含む。 これらのうち、局所的なものについては、支持地盤の傾斜及び撓みの安全性への影響が大 きいおそれがあるため、特に留意が必要である。

(16)

6.基準津波の策定

【基本的要求事項】

施設の安全設計に用いる基準津波は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、波源海域か ら敷地周辺までの海底地形、地質構造及び地震活動性等の地震学的見地から想定すること が適切なものとして策定すること。

また、基準津波は、地震のほか、地すべり、斜面崩壊等地震以外の要因、及びこれらの 組合せによるものを複数選定し、不確かさを考慮して数値解析を実施し、策定すること。

【要求事項の詳細】

(1)基準津波の性格について

基準津波は、施設の安全性を確保するための津波対策の前提となる津波であり、想 定される津波の中で施設に最も大きな影響を与えるものとして、(2)で示す波源から 数値解析によって求めること。基準津波の時刻歴波形を示す場合は、敷地前面海域の 海底地形の特徴を踏まえ、時刻歴波形に対して施設からの反射波の影響が微少となる よう、施設から離れた沿岸域における津波を用いること。

また、その策定に当たっては、個別の申請時における最新の科学的・技術的知見を 踏まえて、その妥当性を十分確認すること。

(2)基準津波の策定方針について

①津波を発生させる要因として、次に示す要因を考慮するものとし、敷地に大きな影響 を与えると予想される要因を複数選定すること。また、津波発生要因に係るサイトの 地学的背景、津波発生要因の関連性を踏まえ、プレート間地震とその他の地震、もし くは地震と地すべり又は斜面崩壊等の組合せについて考慮すること。

・プレート間地震 ・海洋プレート内地震

・海域の活断層による地殻内地震 ・陸上及び海底での地すべり、斜面崩壊

・火山現象(噴火、山体崩壊、カルデラ陥没等)

②プレート形状、すべり欠損分布、断層形状、地形・地質並びに火山の位置等から考え られる適切な規模の津波波源を考慮すること。この場合、国内のみならず世界で起き た大規模な津波事例を踏まえ、津波の発生機構やテクトニクス的背景の類似性を考慮 した上で検討を行うこと。また、遠地津波に対しても、国内のみならず世界での事例 を踏まえ、検討を行うこと。

③プレート間地震については、地震発生域の深さの下限から海溝軸までが震源域となる

(17)

地震を考慮すること。

④他の地域において発生した大規模な津波の沖合での水位変化が観測されている場合は、 津波の発生機構、テクトニクス的背景の類似性、観測された海域における地形の影響 を考慮した上で、必要に応じ基準津波への影響について検討すること。

⑤基準津波による遡上津波は、敷地周辺における津波堆積物等の地質学的証拠や歴史記 録等から推定される津波高及び浸水域を上回っていること。また、行政機関により敷 地又はその周辺の津波が評価されている場合には、波源設定の考え方、解析条件等の 相違点に着目して内容を精査した上で、安全側の評価を実施するとの観点から必要な 科学的・技術的知見を基準津波の策定に反映すること。

⑥耐津波設計上の十分な裕度を含めるため、基準津波の策定の過程に伴う不確かさの考 慮に当たっては、基準津波の策定に及ぼす影響が大きいと考えられる波源特性の不確 かさの要因(断層の位置、長さ、幅、走向、傾斜角、すべり量、すべり角、すべり分 布、破壊開始点、破壊伝播速度等)及びその大きさの程度並びにそれらに係る考え方、 解釈の違いによる不確かさを十分踏まえた上で、適切な手法を用いること。

⑦津波の調査においては、必要な調査範囲を地震動評価における調査よりも相当広く設 定した上で、調査地域の地形・地質条件に応じ、既存文献の調査、変動地形学的調査、 地質調査、地球物理学的調査等の特性を活かし、これらを適切に組み合わせた調査を 行うこと。また、津波の発生要因に係る調査及び波源モデルの設定に必要な調査、敷 地周辺に襲来した可能性のある津波に係る調査、津波の伝播経路に係る調査、砂移動 の評価に必要な調査を行うこと。

⑧基準津波の策定に当たって行う調査や評価は、最新の科学的・技術的知見を踏まえる こと。また、既往の資料等について、調査範囲の広さを踏まえた上で、それらの充足 度及び精度に対する十分な考慮を行い、参照すること。なお、既往の資料と異なる見 解を採用した場合には、その根拠を明示すること。

⑨基準津波については、対応する超過確率を参照し、策定された津波がどの程度の超過 確率に相当するかを把握すること。

(参考)

要求事項の詳細(2)⑨の「参照」の意味については、「1.地震及び津波に対する 基本方針」の(参考)にあるとおり、策定された基準津波を上回る事象が生起する 可能性について認識するためのものであり、施設の設計に当たって適切な配慮を払 い、基本設計以降の段階も含めて「残余のリスク」の低減努力を継続して実施して いくことである。

(18)

7.津波に対する設計方針

【基本的要求事項】

施設は津波に対する高い安全性を有することが必要であるため、基準津波によっても施 設の安全機能を損うことがないよう、次に示す基本的な設計方針を満足すること。

一 2.施設の重要度分類第1項に規定する重要な安全機能を有する施設の設置された 敷地において、基準津波による遡上波を地上部から到達、流入させないこと。また、 取水路、放水路等の経路から流入させないこと。

二 取水・放水施設、地下部等において、漏水する可能性を考慮の上、漏水による浸水 範囲を限定して、重要な安全機能への影響を防止すること。

三 前2号に規定するもののほか、2.施設の重要度分類第1項に規定する重要な安全 機能を有する施設については、浸水防護をすることにより津波による影響等から隔 離すること。

四 水位変動に伴う取水性低下による重要な安全機能への影響を防止すること。

五 2.施設の重要度分類第2項に規定する津波防護施設・設備については、入力津波 に対して、それぞれ津波防護機能、浸水防止機能が保持できること。また、津波監 視設備については、入力津波に対して津波監視機能が保持できること。

六 地震による敷地の隆起・沈降、地震(本震及び余震)による影響、津波の繰り返し の襲来による影響、津波による二次的な影響(洗掘、砂移動、漂流物等)を考慮す ること。

【要求事項の詳細】

(1)基本的要求事項の第一号について、次に示す方針を満足すること。なお、本事項は、 敷地への津波の到達、流入の防止を基本方針として要求している。これは、敷地内へ の浸水が拡大すると、次に示すような事象の可能性が生じ、施設の安全機能が重大な 影響を受けるおそれがあるため規定したものである。

・敷地内における海水の浸入、排出による漂流物の発生と、漂流物による津波防護設 備及び屋外設備(機器・配管)への波及的な影響並びに海水の浸入及び漂流物の発 生による敷地内のアクセス性の低下

(19)

・建屋の周辺地盤の洗掘、余震時の液状化(周辺地盤の冠水による地下水位上昇の可 能性を考慮)等の地盤変状の発生と、地盤変状による敷地内のアクセス性の低下、 並びに津波防護設備及び地下構造物への波及的な影響

①重要な安全機能を有する設備等を内包する建屋及び重要な安全機能を有する屋外設備 等は、基準津波による遡上波が到達しない十分高い場所に設置すること。

なお、基準津波による遡上波が到達する高さにある場合には、防潮堤等の津波防護施 設・設備を設置すること。

②上記①の遡上波の到達防止に当たっては、敷地及び敷地周辺の地形とその標高、河川 等の存在、地震による広域的な隆起・沈降を考慮して、遡上波の回り込みを含め敷地 への遡上の可能性を検討すること。また、地震による変状または繰り返し襲来する津 波による洗掘・堆積により地形、河川流路の変化等が考えられる場合は、敷地への遡 上経路に及ぼす影響を検討すること。

③取水路、放水路等の経路から、津波が流入する可能性について検討した上で、流入の 可能性のある経路(扉、開口部、貫通口等)を特定し、それらに対して浸水対策を施 すことより、津波の流入を防止すること

(2)基本的要求事項の第二号について、次に示す方針を満足すること。

①取水・放水設備の構造上の特徴等を考慮して、取水・放水施設や地下部等における漏 水の可能性を検討した上で、漏水が継続することによる浸水範囲を想定(以下「浸水 想定範囲」という。)するとともに、同範囲の境界において浸水の可能性のある経路、 浸水口(扉、開口部、貫通口等)を特定し、それらに対して浸水対策を施すことによ り浸水範囲を限定すること。

②浸水想定範囲の周辺に重要な安全機能を有する設備等がある場合は、防水区画化する とともに、必要に応じて浸水量評価を実施し、安全機能への影響がないことを確認す ること。

③浸水想定範囲における長期間の冠水が想定される場合は、排水設備を設置すること。

(3)基本的要求事項の第三号について、次に示す方針を満足すること。なお、本事項は、 基準津波に対して敷地への浸水を防止する第一号及び第二号の要求(「外郭防護」)に 加え、重要な安全機能を有する設備等が内包される建屋及び区画を重点的に防護(「内 郭防護」)することを要求するものである。これら第一号から第三号により基準津波に 対する防護の多重化を図り、津波に対する影響から可能な限り隔離することによって 重要な安全機能への影響の防止を確実なものとすることを規定したものである。また、 内郭防護により、地震・津波による循環系配管や敷地内のタンク等の損傷による溢水、 下位クラス建屋における地震時のドレン系ポンプの停止による地下水の流入等、地 震・津波による相乗的な影響に対して、重要な安全機能を有する設備等を防護するこ とも考慮して規定したものである。

①重要な安全機能を有する設備等を内包する建屋及び区画については、浸水防護重点化

(20)

範囲として明確化するとともに、地震・津波による内部溢水及び外部溢水を考慮した 浸水範囲、浸水量を保守的に想定した上で、浸水防護重点化範囲への浸水の可能性の ある経路、浸水口(扉、開口部、貫通口等)を特定し、それらに対して浸水対策を施 すこと。

(4)基本的要求事項の第四号について、次に示す方針を満足すること。

非常用海水冷却系については、基準津波による水位の低下に対して海水ポンプが機 能保持でき、かつ冷却に必要な海水が確保できる設計であること。また、基準津波に よる水位変動に伴う砂の移動・堆積及び漂流物に対して取水口及び取水路の通水性が 確保でき、かつ取水口からの砂の混入に対して海水ポンプが機能保持できる設計であ ること。

(5)基本的要求事項の第五号について、次に示す方針を満足すること。

①津波防護施設とは、防潮堤、盛土構造物、防潮壁等のことをいう。津波防護設備とは、 水密扉、開口部・貫通部の浸水対策設備等のことをいう。また、津波監視設備とは、 敷地の潮位計及び取水ピット水位計、並びに津波の襲来状況を把握できる屋外監視カ メラ等をいう。これら以外には、津波防護施設・設備への波力による影響を軽減する 効果が期待される防波堤等の津波影響軽減施設・設備がある。

②津波防護施設・設備、津波監視設備等の耐津波設計に用いる「入力津波」については、 基準津波の波源からの数値計算により、各施設・設備等の設置位置において算定され る時刻歴波形とすること。数値計算に当たっては、敷地形状、敷地沿岸域の海底地形、 津波の敷地への侵入角度、河川の有無、陸上の遡上・伝播の効果、伝播経路上の人工 構造物等を考慮すること。また、津波による港湾内の局所的な海面の固有振動の励起 を適切に評価し考慮すること。

③津波防護施設については、その構造に応じ、波力による侵食及び洗掘に対する抵抗性 並びにすべり及び転倒に対する安定性を評価し、越流時の耐性にも配慮した上で、入 力津波に対する津波防護機能が十分に保持できるよう設計すること。

④津波防護設備については、浸水想定範囲等における浸水時及び冠水後の波圧等に対す る耐性等を評価し、越流時の耐性にも配慮した上で、入力津波に対して浸水防止機能 が十分に保持できるよう設計すること。

⑤津波監視設備については、津波の影響(波力、漂流物の衝突等)に対して、影響を受 けにくい位置への設置、影響の防止策・緩和策等を検討し、入力津波に対して津波監 視機能が十分に保持できるよう設計すること。

⑥津波防護施設の外側の発電所敷地内及び近傍において建物・構築物、設置物等が破損、 倒壊、漂流する可能性がある場合には、防潮堤等の津波防護施設・設備に波及的影響 を及ぼさないよう、漂流防止措置または津波防護施設・設備への影響の防止措置を施 すこと。

⑦上記③、④及び⑥の設計等においては、耐津波設計上の十分な裕度を含めるため、各

(21)

施設・設備の機能損傷モードに対応した荷重(浸水高、波力・波圧、洗掘力、浮力等) について、入力津波から十分な余裕を考慮して設定すること。また、余震の発生の可 能性を検討した上で、必要に応じて余震による荷重と入力津波による荷重との組合せ を考慮すること。さらに、入力津波の時刻歴波形に基づき、津波の繰り返しの襲来に よる作用が津波防護機能、浸水防止機能へ及ぼす影響について検討すること。 ⑧津波防護施設・設備の設計に当たって、津波影響軽減施設・設備の効果を考慮する場

合は、このような施設・設備についても、入力津波に対して津波による影響の軽減機 能が保持されるよう設計するとともに、上記⑥、⑦の要求事項を満たすこと。

(6)その他、次に示す方針を満足すること。

津波防護施設・設備の設計及び非常用海水冷却系の評価に当たっては、入力津波に よる水位変動に対して朔望平均潮位を考慮して安全側の評価を実施すること。なお、 その他の要因による潮位変動についても適切に評価し考慮すること。また、地震によ り陸域の隆起又は沈降が想定される場合、想定される地震の震源モデルから算定され る、敷地の地殻変動量を考慮して安全側の評価を実施すること。

(22)

8.周辺斜面の安定性に対する設計上の考慮

【基本的要求事項】

施設は、その周辺斜面で地震時に想定しうる崩壊等によっても、施設の安全機能が重大 な影響を受けるおそれがない設計であること。

【要求事項の詳細】

施設の周辺斜面の安定性の評価については、次に示す方針を満足すること。

① 安定性の評価対象としては、重要な安全機能を有する設備が内包された建屋及び重要 な安全機能を有する屋外設備等に影響を与えるおそれのある斜面とすること。

②地質・地盤の構造、地盤等級区分、液状化の可能性、地下水の影響等を考慮して、す べり安全率等により評価すること。

③評価に用いる地盤モデル、地盤パラメータや地震力の設定等は、基礎地盤の支持性能 の評価に準じて行うこと。特に地下水の影響に留意すること。

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